夕日と夜空が混ざる微妙な時間帯。昼の暑さが和らぐ過ごしやすい時間帯だ。
「お兄ちゃん。」
小さな声で話しかけてくる妹。俺はさくらの帰りを待っていた。さくらは塾に通っていて、そこから家が随分遠くにあるのだ。最近は物騒なため、俺が迎えに行く。それがついこの間までが普通だった。
「お帰り。ちゃんと勉強してきたか?」
「うん、今日はね、たくさん正解したの。」
「そうか。すごいな。」
今は、さくらと家の前でお別れ。親が離婚し、俺と弟が父親に、さくらは母親に引き取られたからだ。原因はいいとして離婚した後の母は仕事を増やし帰りが遅くなったそうだ。